フェンネル

アロマリズム

 
    鳥の羽のようにホワッとした細く柔らかな若草色の葉と黄色く小さな花たちが傘のように咲くフェンネルは、 明るくやさしい空間を作ってくれます。 フェンネルはセリ科ウイキョウ属の多年草、原産地は地中海地域です。

  葉、茎、種子と全草を食することができ、葉はサラダやスープに散らし、 肉や魚の香味として使います。 種子はパンやカレーなど香り付けに利用されます。 以前、インド料理のレストランへ行ったときのことですが、食後にフェンネルシードが出てきました。 食後に噛むことで口の中をすっきりさせる効果があるとのことでした。 甘くスパイシーな香りが口の中に広がり、まるで香りのデザートをいただいたような、 ちょっと得した気分を味わったことを覚えています。

  フェンネルの種子は薬用として古くから用いられていたようです。 古代ギリシアではmarano(やせる)という語を由来とするマラスロン(marathron)と呼ばれ、 減量に効果があるといわれていました。 また、眼に良いとされ、洗眼液として視力の衰え、炎症などに使われたこと、 体の痛みを取り除く効果など健康や美容のためにと入浴に用いる習慣もあったそうです。 現代でもハーブティーとして、食べ過ぎたときの消化を助け、便秘や腹痛に有効とされています。 特に、利尿作用、発汗作用があることからダイエットの特効薬といわれ、 また、母乳の分泌を促すことなど、女性にとってうれしいハーブティーです。

  ところで、年末年始のご馳走と運動不足でお腹周りが少し気になっています。 空腹や気分を紛らわすことができるというフェンネルシードを噛んだり、 食後はハーブティーを飲んだりとその効果を期待したいのですが、悲しいことか三日と続きません。 そこがダイエットの難しいところなのですね。

忍田篤子 2009年1月

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