注意 : これは、茶芸教室通信教育コースでの「受講者が中国茶会を主催する」課題に従って、 受講者が自身で茶会のテーマ、中国茶、茶菓子、茶会の手順を決定し、 茶会を主催したときのレポートです。
 
 


 
 

中国茶会レポート

 
1.茶会のテーマ
  今回は、お昼過ぎの軽い茶会をテーマとしました。 その中で、ある程度一般的な中国茶を紹介して、楽しんでもらうように心がけました。

   一回目 9月25日(木)
   ゲスト 3名
   中国茶 西湖龍井茶、阿里山茶、キーマン茶、ジャスミン茶
   茶菓子 マンゴー、さんざし、かぼちゃの種、
バナナとあんこの春巻き(手作り、ゲストからの差し入れ)、
パイナップルケーキ(ゲストからの差し入れ)

   二回目 10月5日(金)
   ゲスト 4名
   中国茶 西湖龍井茶、阿里山茶、キーマン茶、ジャスミン茶
   茶菓子 マンゴー、さんざし、ゴマ団子(手作り)、ネギもち(手作り)、栗蒸し羊羹、
かぼちゃの蒸しケーキ(手作り、ゲストからの差し入れ)

2.茶会の進行
  茶会を以下の手順で行いました。
2.1 中国茶全般の簡単な説明
 世界中の茶のルーツは中国茶にたどりつくと言えます。日本茶、中国茶、紅茶は多くの種類が あっても、同じ茶の樹の若葉から作られています。中国茶の分類は発酵度によって分ける 方法が一番分かりやすいです。
  発酵茶 烏龍、包種、紅茶など
  不発酵茶 緑茶
その他に、色や季節で分けることもできます。
2.2 中国茶の効果についての説明
  カフェインが含まれているので、大脳中枢を刺激し、体内から代謝を良くする ことで疲労回復、覚醒効果があります。このため、朝起きたときに、温かいお茶を飲むと、 身体の目覚ましになります。 胃腸の不快感を軽減し、利尿作用により不要な老廃物を排出する効果もあります。 また、カテキンの消毒効果、風邪初期治療(茶のビタミンC摂取)、口臭をおさえる、 アロマテラピー効果(香りをかぐことによって精神的リラックス)などの効用もあります。
  お茶の種類によっては、”時のタイミング”を捉えて飲んだ方が良いものもあります。 例えば、プアール茶なら脂肪を流すので、油っぽい食事の後にむいています。 ジャスミンなどの花茶は匂いの強い食べ物の後、口中をさっぱりしてくれます。

2.3 中国茶の禁忌の説明
  カフェインが多く含まれているものもあり、寝る前には注意が必要です。 また、妊娠中はカフェインの摂取は控えた方が良いでしょう。 プアール茶などは胃を削るとも言われているので、空腹時には飲まないようにして下さい。

2.4 西湖龍井茶の試飲
  浙江省杭州市が主な産地で、西湖虎跑泉に湧く水で淹れる龍井茶は絶品と言われています。 龍井茶は緑茶で、日本茶の先祖です。 日本茶は蒸す方式、中国茶は釜炒り法が一般的で、龍井茶も釜炒りです。 龍井茶は平べったい茶葉が特徴的です。

  参加者の感想 : 茶湯の色を見ただけでは味がしなそうに思うが、とても味わいが良い。
甘く、飲みやすい。
中国茶といえば、ウーロン茶のイメージしかないが、緑茶もおいしいし、ファンになった。
食後に飲んでもさっぱりする。

初めて緑茶を飲む人が多く、意外な味わいにおどろき、何杯もおかわりしていただけた。

2.5 阿里山茶の試飲
  阿里山茶は青茶で高山ウーロン茶の一種です。 台湾の阿里山が産地で、高い山脈地帯で海抜2000m以上で茶が栽培されています。 美味しい烏龍茶は茶湯が蘭の香りで、喉の通りは高級な蜂蜜の味がすると言われています。 私の中国茶ファンはここから始まりました。
  工夫茶器で参加者にレクチャーしながら初めに私が淹れ、二杯目から参加者に淹れてもらいました。 聞香杯で香りを聞いて飲む方法をとりました。

  参加者の感想 : とにかく残る香りがたまらない。
香りが最高に良い。
こんなに美味しいお茶ははじめて。
二杯目が美味しい。
中国茶の醍醐味を感じる。

やはり反響はとてもよかったです。

2.6 ジャスミン茶の試飲
  ジャスミン茶は花茶の一種です。 花茶には花だけを使ったハーブティーの様なものと、中国茶とブレンドしたものがあります。 軽く発酵した烏龍茶とのブレンドが一般的ですが、龍井茶などの不発酵茶とのブレンドもあります。 今回は包種茶とブレンドしたジャスミン茶をテイスティングしました。 油っぽい料理や匂いの強い料理とよく合います。

2.7 キーマン茶の試飲
  キーマン茶は紅茶三大銘茶のひとつと言われており、お茶の中でも歴史が古いです。 茶湯の色で分類すると、やはり紅茶で紅い色をしています。 もちろん発酵茶になります。 中国紅茶の有名産地は安徽省祁門(キーマン)です。 今回はキーマン茶を工夫茶器で淹れました。

  参加者の感想 : キーマン茶という種類の紅茶を紅茶としてとらえて今まで飲んでいたので、 一般的なものより香りなどがクセがある感じがしてあまり好きではなかったが、 工夫茶器でしっかり蒸らした後に中国茶という認識で飲むととても美味しく新しい発見をしたと いう感じで、とてもファンになった。

これから買って自分で淹れてみるという人も二人いた程です。

3.総括
  茶会を終えての感想をまとめておきます。

3.1 茶菓子について
 「香りの高い阿里山茶、緑茶系などは、お茶の香りを邪魔しないマンゴー、さんざしなどの ドライフルーツや胡桃などのナッツ類、かぼちゃの種などが一般的」と説明。 ゲストからは「普段はドライフルーツそのものをおやつとして食べないが、中国茶と合わせてみると、 ドライフルーツそのものも見直せ、ヘルシーな感じがする」との感想があり。 さんざしが大好評だった。かぼちゃの種も一回食べてみると止まらないようだ。
  一回目の茶会では、ゲストからバナナとあんこの春巻の差し入れがあったが、プアール茶を 用意していなかったので、キーマン茶と合わせて飲んでもらった。油っこいものと合うので、ゲスト からは組み合わせに感心していただいた。
  ゴマ団子はあんこにゴマをまぜるだけで随分と美味しくなり、なかなか好評でした。 ネギもちはまだ要領がつかめず、ゴマ油、醤油、豆板醤のタレで誤魔化してしまいましたが、 嫌われることはなかったです。

3.2 主催者として
  茶会を終えて、ゲストから「なかなか一つ一つのお茶の説明を聞きながら飲む機会はないので、 とても新鮮で一つ一つのお茶の美味しさを味わうことができた」との感想を頂きました。 阿里山の反響はもちろんですが、緑茶ファンやキーマン茶ファンが増えました。 私もやっと龍井茶(緑茶)の味が分かってきて、美味しいと思うようになりました。 キーマン茶を中国茶と捉えて飲むと、さらに深い味わいを感じました。
  茶会を主催側が重く捉えると辛くなってしまうので、初めは昼下がりのライトな茶会が良さそうです。 私も楽しくできました。次回は飲茶あたりのお腹にたまるメニューに対するお茶会も考え、開いてみたいと 思います。
(佐藤 純子 2003年)