中国茶会レポート

 
1.茶会のテーマ
  中国茶を身近に感じてもらう。中国茶とお菓子のマリアージュについても考えてみました。

   一回目
   ゲスト 3名
   中国茶 キーマン紅茶(ゲストからのお土産)
   茶菓子 八角のスパイスケーキ ドライフルーツ(マンゴー いちじく)

   二回目
   ゲスト 4名
   中国茶 高山茶(ゲストからのお土産) ジャスミン茶
   茶菓子

愛玉子ゼリー(クコの実&清美オレンジ添え)
ドライフルーツ(マンゴー いちじく ジャックフルーツ菓子)
   暖かかったこの日、ゼリーは大好評でした。もち
   もちしたゼリーの食感と柑橘系のシロップが絶妙
   でおかわりもでたほど・・・ 歯が悪い年配の方
   にも好評でした。
   これから夏の季節、いいですね。

   愛玉子
   寒天やゼラチンを使ってつくるゼリーではないの
   です。
   種子を袋の中に入れ、水の中でもみもみすると、
   あーら不思議。水が黄色っぽくなってきて、次
   第にとろみもついてきて、しばらくするとプル
   ンッとした「愛玉子」のできあがり!

   三回目
   ゲスト
   中国茶
   茶菓子




   四回目
   ゲスト
   中国茶
   茶菓子

4名
凍頂烏龍茶 東方美人
ドライフルーツ(日向夏 いちじく )
マシュマロ シフォンケーキ(差し入れ)
愛玉子ゼリー(クコの実&清美オレンジ添え)


2名
凍頂烏龍茶 東方美人
ドライフルーツ(マンゴー いちじく) 
粽 中国風蒸ケーキ

2.茶会の流れ
  簡単な中国茶の説明~試飲したお茶の効能~茶菓子の説明
2.1 中国茶の種類
 中国茶は醗酵の仕方によって、緑茶、青茶、黒茶、紅茶、白茶、黄茶の6種類に分けられます。 これに花の香りを吸着させた花茶を加えた6種類プラス1種類でタイプ分けされます。

緑茶(不醗酵茶)
 全く発酵させない不発酵茶。新鮮な茶葉に熱を加え、ほとんどは釜煎りにされます。 頭をスッキリとさせ、身体を覚醒させる効果があり、二日酔いのムカツキを 抑えるなどの効果もあります。 カテキン、ビタミンCが豊富なので煙草を吸う方やビタミンC不足の方にお薦め。 フラボノイドで口臭をおさえる効果が高いとも 言われています。 渋みが少なく、さっぱりした味で、日本茶よりも少し香ばしい香りが特徴。 フレッシュな若々しい香りが、すがすがしい気持ちにさせてくれます。

青茶(半醗酵茶)
 半醗酵といっても幅広い醗酵度のものが含まれるので味や香りもきわめて多様です。 いかに芳香成分を引き出すかということに重点をおいて作られています。 緑茶の独特の爽やかさに、紅茶のまろやかさをプラスした味わいが特徴。 気分を爽快にして頭をスッキリとさせます。
 最近では青茶の総称として使われることが多い烏龍茶は血液中の中性脂肪などを減少させる効果があり、 成人病の予防やダイエットにも効果的です。 特に油分の多い料理を食べた後には後味がすっきりした烏龍茶がぴったりです。
 また、胃に刺激を与えて食欲を増進させたり、食後の胃腸の調子を整える効果もあり、 暑気あたりや二日酔いの時にもお薦めです。

黒茶(後醗酵茶)
 日本でもっとも有名な黒茶がプーアル茶。ダイエットや成人病予防で話題のお茶です。
 体の脂肪を直接分解するわけではありませんが、 食事中に飲むと消化中の食べ物の脂肪の表面を分解することにより、 脂肪の吸収を押さえられるという効果と、腸で脂肪や糖の吸収を抑え、 血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす酵素の活性化を促し、 体脂肪を燃焼しやすくする働きが確認されています。 少しクセの強い味で、時間が経つとまろやかさと深みが増すため、 50年物、100年物などといった珍重されているお茶も流通しています。
 身体の新陳代謝を促進し、胃腸を整えて活発にするため、食べ過ぎた時や、二日酔い、 便秘などを防止する手助けをします。 また身体を温めて血行を良くするので、冷え性、血行不良による肩凝りや頭痛、 風邪の防止にも効果があります。

白茶(弱醗酵茶)
 中国の紅茶は、インドやスリランカのアッサム種の紅茶に比べてタンニンと渋みが少なく、 ストレートで飲んでも十分に甘いのが特徴です。
 ワインでおなじみのポリフェノールを大量に含み、血圧上昇の予防に効果があります。

紅茶(完全醗酵茶)
 細かい産毛が生えているのが特徴的で淡い水色と、爽やかで清涼感ある風味で気分を爽快にします。 のどの渇きを癒し、去熱作用により暑さをしのぐには最適な飲み物です。 また乾燥した時期ののどのうるおいにも良いようです。

黄茶(微後醗酵茶)
 日本への輸入も少ないとても希少なお茶です。 鳥龍茶に近い香りと爽やかな味わいが特徴。 お湯の中での茶葉の動きと黄色がかった色が美しいので、ガラス器などに入れて、 見て楽しむこともできるお茶です。

花茶
 茶葉に花の香りをつけたものや、花そのものが入っていてエキスも一緒に抽出して飲むもの、 花やつぼみだけを乾燥させてお茶にしたものなど種類は様々です。 花の香りを楽しむことができ、リラックスやリフレッシュに最適。ビタミンCなどを豊富に含むため、 美肌にも効果的。

2.2 試飲したお茶の紹介
凍頂烏龍茶
 凍頂烏龍茶は、台湾の中央部にある山岳地帯で作られるお茶です。 いまでは、台湾各地に「高山茶」と呼ばれるお茶が存在しますが、ほとんどのお茶が、 この凍頂烏龍茶をお手本にして作られたといっても過言ではない、 いわゆる台湾烏龍茶の元祖的存在のお茶です。
 くるくると巻いた特徴のある茶葉は、湯につけるとじんわりと開いていき、 一つの芽と数枚の茶葉に復元します。 ビロードのような手触りの茶葉から抽出される黄金色の茶は、 喉の奥にひろがってまさに甘露となります。
 凍頂烏龍茶には、美肌に必要なビタミンCが含まれるだけではなく、 美肌の大敵「活性酸素」の害を抑制するウーロン茶ポリフェノールがふくまれています。 さらに普通の飲料に比べ保湿効果やアレルギー抑制効果もある非常に優れた飲料なのです。
 台湾の薫り高いお茶として有名ですが、昨今では、花粉症に効くという話しも出てより有名になりました。 こんなに良い効果が期待できる凍頂烏龍茶ですが、さらにうれしいのが 「おいしい」 ことなのです。 花のような香り、さらさらと清らかな味わいは、 「これが烏龍茶なの?」と思わせること間違いありません。

東方美人茶(オリエンタルビューティー、Oriental Beauty)
 訳して「東方美人」。 台湾烏龍茶(フォルモサウーロン)とは、まさにこのお茶のことを指すのです。 なんとも素敵な名前のお茶です。
 その昔、台湾の烏龍茶が大々的にヨーロッパに輸出されていた時代に、時の大英帝国女王ヴィクトリアが、 アジアのお土産として献上されたこの茶をコップで淹れた際に、 美しく上下に舞い踊る様に感動し「オリエンタルビューティー」と呼んだのがいわれだとか。
 さらに俗称として「番荘」、「五色茶」、「紅茶」、「老也寮茶」、「福寿茶」、 「着園茶」などと様々な名前で呼ばれています。 特にこのお茶の主要産地である新竹縣峨眉や北埔では、「膨風茶(ポン フォン チャア)」とか 「椪風茶」などと呼ばれています。
 そもそも、この膨風とは「ほら吹き」という意味です。 「椪風茶」という名前は、「ほら吹きでは問題だ、きれいな言葉を使うべきである」と、 日本統治時代に日本人が「膨風」と発音が似ている「椪風」という漢字をあてはめ表記させるようになったのだそうです。
 発酵度が70%もあり、紅茶のような味と香りを持つことから、欧米でも人気があります。 ウンカという虫に茶葉を吸わせる独自の栽培法により、虫の分泌液を介して芳香を強化しているのも特徴。 蜂蜜を思わせる甘い香りと深い味わいがあります。

ジャスミン茶
 日本でのジャスミン茶は「消化促進」や「におい消し」のイメージがかなり強いのですが、 実はそれだけではありません。 ジャスミン茶にはビタミンC、E、そしてミネラルが豊富に含まれるため、 「気分転換」「不安や悩みを軽減」「リラックス効果」「美容」などの効能があります。

キーマン紅茶
 ダージリン、ウバとともに世界3大紅茶のひとつに数えられる銘茶。 渋みのないすっきりとした味わいが特徴。

2.3 お茶と果子(お茶菓子)の関係
  私も中国茶と出会うまではドライフルーツや木の実はパンやクッキーの中に入っていたのは食べていましたが、 そのものをあじわうということはありませんでした。 しかし中国茶と出会い、お教室や中国茶のお店ではよく茶請けとしてよく出され、 お茶とよくあうことがわかり気軽に食べるようになりました。ヘルシーでその効能も興味深いものばかり。 お茶そのものを邪魔しない茶請けには、本当にぴったりです。

 中国のお茶の席で、よく出されるドライフルーツや木の実。 そもそもお茶に添えられる「菓子」という言葉は、木の実をあらわす「果子」が語源とも言われています。 つまり、ドライフルーツはお茶菓子のルーツ。納得です。 ナチュラルでヘルシー、やさしい味わいの「果子」ならお茶の風味も十分に堪能できます。 ミネラルや食物繊維が豊富で、果実の栄養成分が凝縮されたドライフルーツ。 ゲストの皆さんにも、その栄養成分や効能をお話しするとなおさら、好評でした。 +中国茶なら、一石二鳥です。

枝付レーズン
 「干しぶどう」になるまでぶどうを、枝付のまま畑で乾燥させたもの。 生のぶどうの5~20倍のポリフェノール・アントシアニンを含み、 動脈硬化やガンを引き起こす活性酵素などの働きを抑えます。

あんず
 酸味と甘みのバランスが絶妙で「ドライフルーツの女王」と呼ばれている。 β―カロチンが豊富なので、皮膚の抵抗力を高め、美肌効果が期待できます。

山査子(さんざし)
 バラ科の木になる果実。上品は甘酸っぱさが人気。 ミネラル・ビタミンA・Cが豊富で胃もたれ、胸焼けにも効果があるといわれています。

マンゴー
 爽やかな酸味と甘みが特長。 β―カロチン、食物繊維が豊富で美肌や便秘に効果があります。 脂質の過酸化を抑えて老化防止の効果も期待できます。

いちじく
 ごぼうの2倍の食物繊維を含み、長の働きを活発にします。 補血効果があるので、貧血や冷え性を和らげる効果もあります。

いちご
 カリウムやナトリウムをバランスよく含み、利尿作用があります。 また、ペクチン、クエン酸、リンゴ酸、食物繊維などが豊富に含まれるので大腸の働きを促し、 便秘改善にも効果的です。


3.最後に
  今回のお茶会を開くとき時、どんなお茶とお菓子を出そうかと悩みました。
  お菓子が決まっているときに、どんなお茶をあわせたらいいか、 あれこれ考えることは楽しいことですが、なかなか決まらずにあせってしまうこともありました。 またお茶が決まっていて、お菓子はなにをあわせようかと・・・
 今回はお菓子とお茶のマリアージュを考えるときに抑えておくとよいポイントを、 わたしなりにインターネットや本、友人の感想も取り入れ簡単にまとめてみることにしました。

味の濃いお菓子には、味の濃いお茶を
 たとえば、チョコレートとか、バターを使った洋菓子などの場合は、 どうしてもそれに張り合えるお茶の強さが必要になります。 お茶の種類、たとえば、紅茶や黒茶といったお茶なら、ケーキなどが合うようです。 今回は洋菓子やケーキ類に発酵度が強いキーマン紅茶や東方美人を合わせてみました。
  お茶の強さというときに考えておくのは、緑茶とか青茶といった茶の種類や焙煎の強さだけではなく、 お茶の発酵度や熟成度なども考慮に入れると良いかもしれません。 また、アイスクリームと安渓鉄観音という組み合わせは、 なかなかに人気のある組み合わせらしいです(インターネット調べ)。 これからの季節、試してみたいです。

さっぱりした味のお菓子には、さっぱりしたお茶を
  さっぱりした味には、そのさっぱりさを壊さない、さっぱりしたお茶をあわせるのがセオリーです。 たとえば、和菓子。 これは緑茶に合わせるのが無難ですが、それでは面白くないので、 たとえば、ちょっとひねって台湾の発酵度の低い烏龍茶やちょっと変化球で黄茶というのも選択肢として考えてみると面白いです。
  ただし、和菓子といっても、あんこ系のお菓子は、味の濃さがありますので、ポイントその一も考慮に入れてください。 ただし、上品にあんこをつかった水羊羹や生菓子のようなものには、西湖龍井などのさっぱりしたお茶もマッチするようです。
黒ゴマ黄粉の白玉&餡子添え

お菓子とお茶の香りのマリアージュ
 お菓子の香りとお茶の香りの相性もあります。 お菓子を口の中に入れた後に、お茶を飲むと、口の中でお菓子の味とお茶の味が溶け合うことになるので、 味と味のマッチングは大切なのですが、思いのほか口の中には香りが残るのです。 口の中に香りの残るお茶、しかもお菓子の香りと相性の良いお茶を選ぶことも大切です。
 インターネットで紹介されていた組み合わせとしては、シナモンの香りのお菓子。 その香りとマッチするお茶を考えてみると、熟した果実の香りのする東方美人。 シナモンの香りを損なわず、お茶の香りも感じさせるというなかなかの組み合わせでした。

  今回は身近にありながら、普段そんなに食べないドライフルーツも知っていただきたくてあえて毎回出してみました。 予想通りのみなさまに好評でドライフルーツを知るよい機会になったと言われました。 ヘルシーでその効能もまた興味深く、お茶とあうとくれば言うことありません。 ゲストの皆さんをはじめ、ドライフルーツを私自身も見直すきっかけになりました。 さらに、いろいろなお茶とお菓子のマリアージュを試していきたいと思います。
  今回はゲストも初心者が多かったため、堅苦しくならないようにお茶は簡単に2~3種類にしてしまいましたが、 今後は私自身も勉強し、知識をつけ皆様にいろいろなお茶を出し、お話しをできるようにしたいと思います。 そして、茶菓子との相性もあわせて楽しいお茶会が開けるよう、勉強していきたいものです。
(辻岡 ゆう子 2008年)