カモミール

アロマリズム

 
    中3の息子が2~3歳の頃、アトピー肌についてあれこれ本を読んだことがあります。 その中でカミツレエキスを風呂に入れると肌によいとのことに目がとまり、通販で取り寄せて使っていました。 友人に話したところ、 そんなに高価な入浴剤を使わなくても庭で育てたカモミールを使うことで同じ効果があるのではといわれました。 気の短い私には花が咲くまで待つことができないだろうし、花を育てることにも自信がもてなかったので、 友人の話にはあまり気にもとめずにいましたが、高価なものは長続きしませんでした。 その後、少しずつハーブに関心が持てるようになったのは、そんないきさつがあったからかもしれません。

  和名のカミツレ(加蜜列)はもともとカミルレというオランダ語の kamille が語源です。 全草が甘いリンゴの香りをもつことから古代ギリシャ人は「大地のリンゴ」(カマイメロン)と名付け、 カモミールという名前の由来になっています。 また、植え込んだカモミールは踏めば踏むほどよく育つという性質から「逆境におけるエネルギー」という花言葉がつけられています。 化粧水、ヘアリンス、クリーム、ピローなどフレッシュもドライも活用方法は幅広くあります。

  ハーブティーとしては、ジャーマンカモミールを使うことが多く、 リラックス効果を含む鎮静作用、消化促進作用があり、西欧では民間薬として親しまれてきました。 子供にも安心して飲ませることができるハーブティーでもあります。 香りの強いローマンカモミールはあまり使われていないようですが、 精油としては反対にローマンカモミールの方をよく使います。

  ピーターラビットの絵本の中に、 母さんうさぎがピーターにカモミールティーをスプーンですくって飲ませるというなんとも微笑ましい絵があります。 そして、中国ではカモミールのことを「母菊」といい、 子供たちをやさしく癒してくれるお母さんのイメージを感じとることができます。 今、何かと反抗的になる我が家の息子に対して腹を立てる前に、 カモミールティーを煎れてやさしい母を演じてみるのも一案かもしれませんね。

忍田篤子 2007年6月

カモミール