セント・ジョーンズ・ワート

アロマリズム

 
    12月に入ると近所のお宅のイルミネーションがとても楽しみになります。 最近はイルミネーターといわれる人たちが競って我が家を光り輝かせていますが、 町内ではそこまでやるお宅はないようです。 でも、いつもの暗い静かな町内の景観がこの時期だけは明るく暖かい気持ちにしてくれます。

  さて、クリスマスといえば12月ですが、 夏のクリスマスについて知るきっかけになったセント・ジョーンズ・ワート(オトギリソウ科の多年草)というハーブがあります。 聖ジョンはバプテスマ(洗礼者、ヨルダン川でキリストに洗礼をほどこした)のヨハネ(ジョン)のことで、 キリストより6ヶ月前に生まれ、その日を祭日として夏のクリスマスと言われるようになったそうです。 そして、その頃に咲くセント・ジョーンズ・ワートは光のように明るい黄金色の花を持ち、 その茎から出る赤い汁が首切りになったヨハネの血の色と結び付けられたという説があります。 この草を燃やし、その煙によって人や動物をあらゆる悪魔や悪霊から守ってくれると信じられていました。 また、魔除けの草として普段から家の戸口や窓などにつるしておく習慣も引き継がれているようです。

  現在は魔除けというよりも、その優れた薬効が注目されているようです。 神経系の強壮作用があり、心労がかさんで弱気になったり、不安で落ち着かなくなったりした心を静めてくれます。 「天然の抗うつ薬」とも言われ、サプリメントもできています。 また、花と葉をオリーブ油などに入れた浸出油は傷や火傷の手当て、神経痛、リウマチ痛に使うこともできます。

  最近、受験モードに入ってきた息子の一言に一喜一憂する自分が情けなくなり、 私としては珍しく落ち込むことがありました。 幸い時間が解決してくれましたが、 こんな時こそセント・ジョーンズ・ワートのハーブティーが気持ちを楽にしてくれるのでしょうね。 秋に購入したセント・ジョーンズ・ワートの苗が新しい芽を出していたのを見て、ふとそんなことを感じました。 来年の夏には黄金色の五つの花弁が眩しいくらいに咲いてくれるといいのですが。

忍田篤子 2007年12月

セント・ジョーンズ・ワート