ラベンダー

アロマリズム

 
    先日、ハーブの好きな仲間たちとエッグポマンダーを作りました。 卵の殻の中にドライのラベンダーを入れ、殻の周りに端切れなどの布を糊付けして作る香りの置物です。 子供が小さい時に一緒に作ったことが懐かしく思い出され、 そんな話をしながら楽しいひとときを過ごすことができました。

  エッグポマンダーのポマンダーという言葉はラテン語のpomum ambrae「アンバーのりんご」の意で、 アンバーグリスというマッコウ鯨の腸から採れる脂肪性の分泌物のかたまり 竜涎香(りゅうぜんこう)のことです。 また、アンバーの他にもジャコウネコから採れる麝香(じゃこう)で作るムスクボールと呼ばれるものもあり、 これらは古代ギリシャ、ローマではお守りとして使われたようです。

  その後、16世紀頃にはポマンダーはオレンジやレモン、 りんごなどにクローブを釘のように表面が見えなくなるくらいに刺し、 シナモンなどの香料をまぶして、乾燥させたものを疫病よけに身につけて使われていたようです。 現在では疫病よけやお守りという意味からは少し離れてしまっていますが、 手工芸品のひとつとして気軽に楽しまれています。

  さて、何気なく作っていたエッグポマンダーから歴史を少しひも解くうちに、 話は香りがどのようにして人々に関わってきたのかということにまで広がっていきました。 疲れた頭に活力をもたらすというラベンダーの香りのせいでしょうか。 その香りの主成分である酢酸リナリルには鎮静効果があり、精神的なストレスをやわらげて緊張をほぐすなど、 多くのリラックス効果が期待できます。

  ハーブティーとしては香りが強すぎて飲みにくいときは薄めに淹れ、 ハチミツなどを加えると飲みやすくなります。 すがすがしい花の香りに包まれながら、他のハーブとのブレンドを考えるのも良いかもしれません。

忍田篤子 2008年1月

ラベンダーとエッグポマンダー