オレンジブロッサム

アロマリズム

 
    五月はさわやかな風とともにどこからともなく花の香りが漂います。 先日、掃除をはじめようと二階の窓を開けた時のこと、 甘すぎず若葉のグリーンを思わせるようなすっきりとした香りが私の嗅覚を心地よく刺激しました。 外を見まわしたところ、一軒先の庭先に夏みかんの木が満開に花開いていました。 風に乗って我が家まで素敵な香りが届いたのでしょう。

  柑橘系のハーブティーとしては、オレンジやレモンの果皮をドライにしたピールがあります。 紅茶や他のハーブティーとブレンドすることによりフルーティーでさわやかな飲み物にしてくれます。 また、オレンジの花をドライにしたものをオレンジブロッサムティーといい、 オレンジピールより甘くフローラルな香りが口の中に広がります。 このおだやかな香りと味は緊張や不安をほぐして気分を落着かせます。 ストレスから起こるからだの不調などの改善にもよいそうです。

  オレンジにはビターとスイートがありますが、ビターオレンジの花から採れる精油「ネロリ」は特にすばらしい香りがあり、 高価な精油のひとつにあげられます。 ネロリの名前はイタリアのネロラ公国のアンナ・マリア妃がこの香りを好んで愛用したことが由来しており、 とても上品な香りは古くから香水に使われていました。 花のほかに、葉や小枝からも「プチグレイン」という精油が採れます。 ネロリよりはウッディーでシトラス調の香りがします。

  どこをとっても香りの宝庫といえるオレンジですが、自然の香りを楽しむのは花の咲く今の時期かもしれません。 身近なところにはビターオレンジの木は無く残念ですが、 2~3日はご近所の夏みかんの花を楽しませていただくことにします。

忍田篤子 2008年3月

夏みかん