タイム

アロマリズム

 
    去年の五月、芝桜の花を見に秩父の羊山公園に行きました。 山と山のなだらかな谷間一面に広がる芝桜を見たときの感動が忘れられず、 庭の片隅に芝桜の苗を植えました。 限られたスペースの中で広がっていくのをささやかな楽しみにしているところです。 今年は暖冬のためか葉は青々として、先日花が一つ二つ咲き(狂い咲き?)、 なんとか無事に冬を越せそうです。

  ハーブの中にも地面を這うように育つものがあり、そのひとつに、 クリーピングタイム(別名マザータイム)があります。 乾燥した石灰質の丘や野原にマットを敷き詰めたように生えるそうです。 以前、地植えをしたことがありますが、雨の多い日本の風土があわなかったのか、 私の手入れ不足も相まって地を這うまでには到りませんでした。 今はハーブティー用としてプランターでレモンタイムを育てているぐらいです。

  タイム(シソ科)の品種は350種にもおよび、コモンタイム、レモンタイム、 クリーピングタイムが代表的なものです。 和名をタチジャコウソウといい、地中海沿岸地方が原産です。 古代ギリシャでは山々をそのすばらしい芳香で香らせていたそうです。 薬草としてその歴史は古く、いろいろなものに利用されたようです。 浴湯に入れて肌を清めたり、神経を静めるのに役立てたり、チーズやお酒の風味付け、 強壮効果のあるハーブティーとして飲まれていたようです。 また、殺菌、防腐効果にもすぐれており、外科の消毒薬に利用されたり、歯磨き粉、 うがい薬、石けんの香料などにも使われたりもしています。

  このように古くから利用されていたことから、多くの伝説があるそうです。 その中に、タイムが一面に香りを立てる場所は、 妖精がお気に入りの遊び場と信じられていたとのこと。 妖精を見つけることができた方は、ご一報をお待ちしております。

忍田篤子 2007年3月

我が家のローズマリー