茶的故事 

 台湾茶

 其の四十四 花蓮大禹嶺茶

 
  大禹嶺は台湾の花蓮、南投、台中三県の境にあり、行政上は花蓮県秀林郷富世村に属しています。 海抜は約2500~2600メートル、台中から花蓮までの中部横貫公路(略称「中横公路」)の最高点に位置しています。 地形は分水嶺となっているので、中横公路も大禹嶺を境に、太魯閣までの路線を主線東段と称し、 東勢までの路線を主線西段と称しています。 沿路の太魯閣國家公園、雪霸國家公園、梨山などは世に馳せる観光地であります。 また、沿線に民宿や温かい食事ができるレストランも多く、茶農家も多いです。

  大禹嶺の旧名は、「合歓埡口」と呼ばれていましたが、中横公路が開通された後、 蒋経国(蒋介石の長男、元総統)によって「大禹嶺」に改名されました。 これには深い意味があります。 すなわち「中橫公路」は台湾初の中央山脈を貫き、東西を繋げた公路であり、 沿路には険しい高山深谷や断崖絶壁がありますので、その工事は「大禹治水」の如く、極めて困難でありました。

  大禹は黄帝の玄孫で、中国古代の夏王朝の創始者です。 姓は姒(じ)、名は文命、号は禹、大禹は尊称であります。 伝えによると、尭、舜の世に大洪水が起こり、父鯀(こん)が治水に失敗した後、 禹はその業を継いで治水に専念すること13年、門前を過ぎても内に入る余裕がなく、 遂に成功して舜から帝位を譲られました。 これは約4000年前からの伝説でありますが、浙江省紹興市会稽山に「大禹陵(墓)」があり、有名な観光地になっています。

  台湾では高山茶の人気は日増しに高まり、それにつれて高級茶産地も世間の注目を浴びています。 しかし、周知のとおり、台湾はよく台風に襲われます。 お茶の木や檳榔樹の根は浅いので、山崩れ防止の効果を低下させるため、茶畑や檳榔樹畑に栽培制限があるのです。 なので、特に茶の生産量が少なく、希少なお茶として知られています。

  高山茶は高海抜に茶園があるため、気候の影響を受け、しっかりとした茶葉が育ち、 虫も少なくそう農薬を使わなくても済むと言う得点があるのです。 近年の大禹嶺茶は、100g の販売価格が日本円の平均で万単位するものもあるのにも関わらず、 人気観光地への経由地でもあるため、中国本土からの観光客にも大人気のお土産となっています。 また、取材したところ、全般がそうですが、台湾の高山茶人気は中国本土でも人気が高く、 輸出量も年々増加し、台湾茶の活力になっています。 茶農家によっては、すでに数年先まで予約がいっぱいで販売済みだそうです。

 楊品瑜 2011.11.15 (転載不可)





花蓮大禹嶺茶