茶的故事 

 福建茶

 其の四 福鼎白牡丹茶

 
  福鼎市は福建省東北部に位置し、地名は太姥山の覆鼎峰に由来すると言われています。 太姥山は三面が海に面していて、同じく福建省内の武夷山と並ぶほどの名山であります。 古人は武夷山を“東方奇秀”と称し、太姥山を“海上仙都”と称していました。 清朝、乾隆4年(1739)に県となり、1995年に市となりますが、2000年11月に寧德市管轄下の市となりました。 福建省の十大水産生産重点地であると共に、古くから中国十大茶生産地でもあります。

  福鼎市名産の白茶「白牡丹茶」は、古くから貢茶(献上茶)として知られています。 また、白牡丹茶についての伝説に、西漢(紀元前206年~紀元8年)の時代に毛義と言う太守 (郡の長官、すなわち郡守)が汚職に嫌気が差し退官しました。 その後、毛義は隠居するため母親を山奥へ連れて行きました。 途中、毛義と母親はある青々とした山の前を通った時に、香ばしい香りが辺り一帯に漂い、 近くにいた老人に香りの由来を聞いたところ、それは近くの蓮池湖畔にある18本白牡丹の香りだといわれました。 毛義はこの仙境のような地で隠居生活を送ることに決めたそうです。

  その後、一時母親が病気となり、焦った毛義は四方に良薬を求めましたが、 夢で仙人から治療薬に鯉と新茶が必要と諭されました。 鯉はなんとか池から攫めることができたのですが、真冬のなか新茶を採取できないのでした。 なんと、あの18本の白牡丹が新芽も生えている18株のお茶に変わっていました。摘み取り、鯉と共に煮込み母親に食べさせたら、見事に病気が治りました。 そして、治療に使ったお茶は白牡丹茶と称され続けたのだそうです。

  実際の白牡丹茶の茶葉は、芽を中心に摘まれているため、産毛があり、 製茶された茶葉に白いところが残るのがその一因です。 また、茶葉は一見揉み方が雑に見えるかもしれませんが、実は白茶はほとんど揉まないのです。 味は品質にもよりますが、今回入手したものは、ほんのりと甘く、紅茶のダージリン茶に近い味がします。

 楊品瑜 2011.08.10 (転載不可)


福鼎白牡丹茶