茶的故事 

 江蘇茶

 其の三 太湖翠竹茶

 
  太湖翠竹茶は、無錫市錫山区産の名茶です。 主な産地は八士鎮、雪浪鎮、藕塘鎮などです。 代表的な八士鎮は、元来小さな鎮でしたが、清朝で行われた科挙制度において、 8名が合格したことから、地名が八士鎮と名づけられたと言い伝えられています。 2004年の合併により現在は錫北鎮となっています。

  太湖は江蘇、浙江二省にまたがる淡水湖で、東西60キロ、南北約45キロ、面積約2000平方キロ、 中国五大淡水湖のひとつです。 言い伝えによると、太湖は元々、東シナ海の一部でした。 永年長江(揚子江)と錢塘江が運ぶ土泥などの堰塞によって、 湖ができてしまい、潟湖(ラグーン)となったのです。 そして、豊富な雨量や流入した川水から徐々に湖内の水質が淡水化したそうです。 現在の太湖は長江デルタに位置し、大運河ともつながり、多くの中小の河川が流れ込み、 またここから蘇州を流れる蘇州河や上海を流れる黄浦江などの源流となっています。 太湖の水は東岸から流出し、婁江、呉淞江、黄浦江の3江となり、 上海を経由して揚子江(長江)に流れ込んでいます。

  湖周囲の主都市は、北側に無錫、西側に茶器の名産地宜興、東側の蘇州(以上は江蘇省)、 南岸に湖州(浙江省)などがありますが、太湖遊覧と共に、数え切れない観光地があることでも知られています。 現在は、国家重点風景名勝区に指定されています。

  太湖には有名な「太湖石」を産出します。これは浸食による奇形の石灰岩で、 造園、とりわけ庭石や盆石に使われます。石は細く皺(しわ)があるのがよいとされています。 この石は永年太湖の波に洗われて自然に穴があいたものが多く、形は奇形怪状かつ多種多様です。 日本では岐阜県明星山にも太湖石を産出しています。

  太湖翠竹茶は1989年に研究し、改良された緑茶です。 作られた茶葉は緑っぽく、平らなので、竹の葉に似ているから翠竹の名が付いたのだそうです。 味は日本の緑茶に近く、渋みが少なくさっぱりした緑茶なので、日本人にも飲みやすい緑茶だと思います。 また近年では、数多く品評会で上位受賞している銘茶でもありまして、 2002年江蘇省主催の「陸羽杯」の品評会では連続8回一位になったお茶だそうです。 また太湖翠竹茶の評価が高くなったにともなって、茶の栽培面積が拡大しつつあります。 更なる発展が期待される中国緑茶のひとつでもあります。

 楊品瑜 2010.10.30 (転載不可)


太湖翠竹茶