茶的故事 

 雲南茶

 其の二 瀾滄江滇红茶

 
  「滇」は雲南の略称で、「滇紅茶」(略称「滇紅」)とはすなわち雲南紅茶の総称です。 滇紅の主な産地は、瀾滄江より西、怒江より東の高山峽谷区にあり、 雲南省内の瀾滄江沿岸の臨滄、保思茅、シーサンパンナ(西双版納)、德宏、 紅河6州20県が滇紅茶の製茶を行っています。

  瀾滄江は中国南西部の大河で、浪滄江とも書きますが、これはメコン川上流の名称です。 源流は格爾吉河と卾穆楚河からなり、いずれも青海省南方のタングラ(唐古拉)山脈中に発します。 二河は昌都南方で合流してから寧静山脈と怒山山脈の間を深い縦谷を刻みながら南流して雲南省に入ります。 同省内に入って以後、約400キロの縦谷を貫流し、保山県東方で雲南高原に入り、 漾濞江その他の支流を合わせ、ラオスに入り、メコン川となります。 メコン川流域は世界最大の米の生産地であります(「アジア歴史事典」第9巻・瀾滄江の条参照)。

  雲南省徳欽県内に位置する瀾滄江(梅里)大峡谷は、中国で最も美しい峡谷の一つとされ、 人気の観光地でもあります。 かつてシーサンパンナに住む人々は、「瀾滄江」を「九龍江」とも呼んでいました。 川の中に九頭の龍が住んでいるという伝説です。 また、当時この一帯を統治していた王様に9人の妻がおり、 それぞれひとりずつ息子がいたことに由来する伝説もあります。 聖なる川として、古代から人々に大切にされてきた川でもあります。

  一般に、滇紅は雲南大葉種から製茶され、良質な春茶の茶葉が使われます。 現在では、良質な茶園は“国家省立生態茶場”として選定されています。 良質な茶園の条件としては、衛生的な環境で、農薬を散布せず、 水は山からの自然なミネラルウォーターを使っているなどです。

  滇紅は、大きく滇紅工夫茶と滇紅碎茶の二種が作られています。 金毫(ゴールデンチップ)があるものが、高級とされています。 1939年に鳳慶県で初めて製茶に成功し、イギリスに15トン輸出しました。 その後茶園はシーサンパンナ猛海県に拡大されました。 滇紅工夫茶の芽葉は厚みがあり、茶湯は赤みのある茶褐色、香り高く、 香醇でまろやかな味が特徴のお茶です。

  滇紅工夫の茶葉は一芯二~三葉で摘まれ、滇紅工夫茶は條、 滇紅碎茶はいわゆるカットされたブロークン茶です。 そして、工夫茶のほうは、味がまろやかで、碎茶のほうは、やや個性的な味です。 現在の滇紅工夫茶と滇紅碎茶は輸出が多く、主にロシア、ヨーロッパ、北美などに輸出されています。 そのため、滇紅茶の多くはいかに、ミルク、砂糖を入れた後の味や香りのクオリティが追求されています。 また、ミルクを入れた時に、さらっとしたアイスミルクティーが作れる茶葉が好まれているようです。

  近年滇紅工夫茶では、一芯一葉で作られた"滇紅特級禮茶"がもっとも高級とされています。 なかでも柑橘系で濃くある甘みの「滇紅金芽」と言う品種がもっとも珍重されています。

 楊品瑜 2012.06.20 (転載不可)


瀾滄江滇红茶