茶イナよもやま話(その9)

 

  ここ最近はすっかり中国の文化に関する話が続いていたので、 今回は基本に戻り、お茶の話をしたいと思う。

  本年2004年11月3日から7日まで、 静岡県コンベンションアーツセンター “グランシップ” 及び ツインメッセ静岡 に おいて 「世界お茶まつり2004」 が 開催された。 2001年に開催されて以来、久々の世界お茶まつりということで本来は現地に 足を運び自分の目でちゃんと見てリポートしたかったが、 今年の11月は娘の幼稚園受験、七五三、…と行事が目白押し。 念願果たせず残念極まり無かったが、色々と情報を集めてみた。

  先ず、今回の見所を幾つか挙げると、一つ目は 「静岡茶ワールド」 だろうか。 静岡県といえば我が国の茶生産量の約半分を占める、 言わずと知れた日本一の茶産地で、この静岡県内の茶畑で育ち、摘採され、 県内の茶工場で製造された茶を総称して 「静岡茶」 という。

  茶処だけに、茶産地も東部より、「富士のやぶ北茶」、 収穫時期の早い 「清水茶」 や 「庵原茶」、受賞茶など高級茶の多い 「本山茶」、 玉露が有名な 「岡部茶」 や 「藤枝茶」、 「島田茶」、 「金谷茶」、 朝霧に包まれ山間地という良好の場所で育った 「川根茶」 、 牧の原台地に広がる広大な茶園で育った 「菊川茶」 や 「島田茶」、 「掛川茶」、 深蒸し茶などの特徴の多い茶で有名な中遠地方の 「小笠茶」、 「袋井茶」、 「磐田茶」、天竜川上流の北遠地方の 「天竜茶」、 「春野茶」 など 県内17産地の銘茶が勢ぞろいしたそうである。 しかし、銘柄は耳にしても、これだけの種類のお茶を個人的に一度に 揃えるのはなかなか難しく、飲み比べして茶産地を当てる 「TVチャンピオン」 レベルに到達するまでには、まだまだ経験の足りない私である。

  また、静岡には 「抹茶ケーキ」 や 「抹茶ロールケーキ」、 日本産の数少ない紅茶である丸子紅茶を使った 「丸子紅茶アイスクリーム」 などの お茶を使った名物が様々あるが、 私個人的には大井川鉄道家山駅近くで販売している川根茶を 使った 「抹茶たいやき」 を一度食してみたいと思っている。

  二つ目は、世界の茶をテーマにした 「ワールドお茶メッセ」 と 「O-CHAは世界語」。 前者はツインメッセで世界30数カ国のお茶流通業者が出展し、 後者はグランシップで日本茶、紅茶、中国茶、ヨーロッパ、イスラム、アフリカや アジアの珍しいお茶を体験することができたそうである。 そこではベトナムの蓮茶やチベットのバター茶などが試飲でき、 また韓国茶芸の体験参加もできたようだが、 私が一番気になったのは 「中国子ども茶芸」 である。 しかしながら、私の周りでこの茶芸を見た人がいないので、 感想を述べられず残念である。

  ちなみに子ども茶芸は中国語で 「少儿茶芸」 と言い、1990年代初期頃から 香港、上海、杭州辺りで小中学生を対象に新しく生まれた新興茶芸である。 今回は上海市黄浦区青少年活動中心より派遣された子ども茶芸団が デモンストレーションをしたそうだが、この活動中心(センター)では 1993年に 「小茶人茶芸館」 を設立し、各地で茶文化活動をしているようである。 ここでは子ども達の年齢に相応しい方法で茶の歴史や茶の淹れ方、茶の歌や踊り、 茶詩を学び、茶新聞を作成すると同時に、愛国心や集団活動、勤労、礼儀、健康など を学ぶことができる理想的な教育の場なので、 黄浦区の教育局は小中学生の活動内容に茶芸活動を取り入れようと試みているようである。

  こういった点では日本の幼稚園のカリキュラムにおいても茶道を学ばせる所も多く、 お茶は情操教育に効果的と言えるだろう。 この 「少儿茶芸」 は機会をみつけて、是非見学してみたいと思っている。

  最後はやはり、ロボットカフェだろうか。 私もネット上で静岡理工大学が開発したという 「給茶ロボット」 の動画を拝見したが、 動作が比較的人間に近く、お茶の味の濃淡も一定で良い働きをするようだ。 一度は淹れて戴いたお茶を飲んでみたいとは思うが、やはりお茶は 「一期一会」。 人間の手の温もりともてなしの心は忘れたくないものである。

陸 千波 2004年11月