茶的故事 

 台湾茶

 其の十四 関西緑茶

 
  関西鎮は新竹米粉で有名な新竹県に属しています。 新竹の地名は、平地に住む原住民 「道卡斯族」 (Taokas)の集落 「竹塹社」 に由来しています。 竹塹は原住民の言葉 「海辺」 の発音に漢字を充てたものです。 新竹一帯の開発は1626年頃にスペイン人が海路より上陸したのが始まりで、 1642年にオランダ人が取って代わりました。 明の時代になって福建からの移住が始まり、のちに広東 (主に客家人) が移住して来ました。 1950年に新竹一帯を桃園、新竹、苗栗の3県に分けています。

  新竹は独特な 「新竹風」 と呼ばれる強い海風が吹くことでも有名で、 「風城」 と俗称されることがあります。 この風が独特な農産物を育てるとされています。 また、風力発電にも利用されています。 ただ、茶栽培に適している一番の理由は、四季の雨量が平均して多いからだと思います。

  関西はもともと 「鹹菜」 と呼ばれていましたが、 日本統治時代に発音が近い 「関西」 と地名が変更されました。 日本統治時代の1898年に 「日本新竹実業社」 が設立され、茶、米、砂糖、樟脳などの生産に力を入れました。 茶は緑茶や紅茶作りが奨励され、関西では紅茶に適した黄柑種が栽培されました。 しかし、この種は紅茶産業の衰退にともなって減少し、現在は青心大冇や金萱が栽培され、 包種茶の 「六福茶」 としても有名です。

  新竹の茶業は戦後も日本に緑茶を多く輸出しましたが、中国緑茶との価格競争に勝てず、 一時期廃業に追い込まれた農家も多かったそうです。 現在は政府指導のもとに国内消費用の緑茶に路線を変更し、再起しています。 本来、台湾の緑茶には三峡の龍井茶のように青心柑仔種がよく使われていますが、 新竹ではそれぞれの農家に任されているようです。

  関西では緑茶粉も作っています。 抹茶として飲むものよりも、加工品に使われるものが主流です。 実は台湾では緑茶味の飲料や菓子が作られ始めたのは比較的最近で、今や大人気です。 ただし、ファーストフード店などで売られているほとんどの緑茶飲料には、甘味料が入っています。

  新竹には今でも伝わる、客家人が各家庭で作って飲んでいる名茶 「擂茶」 があります。 これは茶、五穀、胡麻などをすりつぶし煎じて作るものですが、家庭ごとに入れるものが異なっています。 最近は擂茶にお手軽な緑茶粉を入れることも多いそうです。 擂茶は使う材料にちなんで、「三生湯」 といわれることもあります。

  また、新竹では茶業が全盛だった頃から続く茶戯団が、 今でも伝統保護を主旨として活動しています。 ストーリーには主に茶摘み娘に関する恋愛物語が多いです。

 楊品瑜 2004.12.09 (転載不可)


関西緑茶粉
湯に溶かして飲んだり、
お菓子作りにも使える。 




市販されている擂茶(嘉義県産)