梨山は観光地として有名で、煙聲瀑布(別名 桃山瀑布)や龍谷瀑布(瀑布は滝のこと)、
梨山文物陳列館、観光果樹園、露営区(キャンプ場)などがあります。
台湾には珍しく、降雪もあります。
また、気候条件を生かして、台湾産としては貴重な梨やりんご、桃などの温帯フルーツや
キャベツ、大根などの温帯野菜が作られていることでも知られています。
かつて台湾ではりんごは貴重品で、見舞品として人気でした。
もちろん、日本産が一番人気でしたが、梨山りんごも珍重されました。
りんごの輸入が自由化され、りんごに対する価値観は、日本での
バナナのように世代で差が生じています。
現在では、果樹園と入り交じって茶園があり、茶業に転業する農家も多いと聞いてい
ます。
台中県和平郷管轄の梨山は大甲渓上流の渓谷にあり、横貫公路幹線と宜蘭支線の分岐点に位置しており、
台湾では「リトルスイス」と例えられています。
また、日本のアニメ映画 「風の谷のナウシカ」 の谷に似ていると
紹介されていることもあります。
梨山の歴史はまだ台湾でも研究中ですが、かつては「沙拉茂(サラマオ)」と呼ばれ、
元々は原住民 「泰雅族(タイヤル族)」 が住んでいました。
日本統治時代に開発が少し進められましたが、開発困難地とされ、開発は停滞しました。
戦後になって東西横貫公路の開通後に、主に大陸から渡ってきた軍人が退役した後に
政策により移住し、フルーツ栽培を行ったとされています。
梨山茶区産の茶は、梨山高冷茶や梨山高山茶、梨山烏龍茶などと称され、
近年台湾で高級茶として非常に人気が高い茶です。
有名な農場、例えば福壽山農場や武陵農場で採れる茶は、「福壽山茶」 や 「武陵茶」 と
ブランド化されています。
味はまろやかで、香りが高く、丁寧に作られた高級茶中の高級茶と言ってもよいでしょう。
梨山茶区はまだ新しい茶区で生産量はまだ少くないため、販売価格は常に各地の受賞茶なみ
になっています。
高冷茶の名は、純粋に高いところ、寒いところ
(中国語では 「寒い」 を 「冷」 と表現する) で採れた茶に由来します。
梨山では海抜2600m以上の茶園もあり、
梨山の中でも海抜が高い茶園で栽培された茶が高冷茶と呼ばれています。
梨山茶の中にも、海抜が高いところで採れた茶ほど、価格が高いという傾向があります。
写真で紹介した高冷茶に対して、筆者は欠点の見当たらない女性好みの茶という感想を
持ちました。
梨山茶区で栽培されている茶樹は、新興茶園ということもあって、青心烏龍の他に、
金萱などの新種も多いです。
製法は包種茶と同じです。
茶の最終成型は、台湾北部の包種茶が細長いのに対して、半球型であるのが特徴です。
台湾高級茶を輸入すると、さまざまな流通コストのために価格がさらに高騰し、
商売としてはなかなか難しいのではないかと思いますが、
ありがたいことに日本での販売量も種類も増えています。
取り扱われている中国茶専門店の企業努力に、敬意を表したいと思います。
生産量の少ない梨山茶も 100gあたり5000~10000円程度で購入することができます。
楊品瑜 2004.11.07 (転載不可)
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梨山高冷茶
箱の下部に手作りのラベルが貼られている。

梨山高山茶

梨山高冷茶(2007年春茶)
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