茶的故事 

 台湾茶

 其の九 玉山茶

 
  玉山国家公園は1985年に制定され、玉山山脈を中心として南投、嘉義、高雄、花蓮の4県に広がっています。 公園内には幾つもの観光名所があります。 清朝時代の1875年に作られた八通関古道と呼ばれる古道は台湾最古の東西を結ぶ道路のひとつで、 以前は八童関、八同関とも書かれていましたが、後に「四通八達」の意味をとって改名されました。 日本統治時代には八通関越嶺古道が整備され、 全長約125キロメートルの「理蕃道路」(原住民を管理するために作られた道)も建設されました。 近くには東埔温泉があり、宿泊施設も充実しています。

  玉山の名は清の時代の「福建通志」の中に記載されたことに由来していますが、 この時代には不毛の地と見なされていました。 玉山の最高峰は標高3952メートルで富士山より高いので、 1897年明治政府は玉山を新しい日本一高い山として「新高山」と改名しましたが、 戦後、中華民国政府はまたその名を玉山に戻しました。

  新中横公路の全線開通に伴い、 1991年に公路の最高標高2610メートルに位置する南投県信義郷塔塔加に遊客センターが設立され、 玉山観光の拠点となり、珍しい高山植物や地層を楽しめる玉山の登山口になっています。 また、塔塔加は神秘的で美しい雲海が見られることでも人気です。 塔塔加はTatakaと発音しますが、これは原住民「鄒族」の「平坦」を意味する言葉の発音に 漢字を充てたものです。昔、この辺りには草原が広がっていたそうです。

  玉山山脈に沿った南投県信義郷の三十甲、羅娜、同富、神木、沙里仙、塔塔加、 そして、水里郷の永興、新山、上安などで 採れた茶が、玉山茶又は玉山高山茶、玉山高海抜茶と呼ばれています。 この辺りは1979年頃から開拓した標高1000メートルを超える茶畑も多い新興の茶区です。 茶樹の品種は、青心烏龍(別名軟枝烏龍)、金萱が多いです。 質が良く生産量が少ないことによって、自然に茶葉の値段が高騰し、高値が続いています。

  近年は、沙里仙茶と塔塔加茶が独立ブランドとして定着を目指しています。 写真で紹介した塔塔加茶もやはり、高山茶特有の甘みと渋みを持った香り高い茶です。

  1993年に政府主導のもと玉山觀光茶園が設立され、観光事業も盛んになっています。 一方で、急激に高山での茶園開発が森林破壊につながると危惧する声もあり、 茶の生産量はなかなか増えないようです。 最近は、茶の種から搾取した茶油が血液をサラサラにしてくれると注目されており、 玉山産の茶油も人気になっています。

 楊品瑜 2005.02.24 (転載不可)


玉山塔塔加茶